古典和歌stream
表題
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古今和歌集
秋萩にうらびれをればあしびきの
山下とよみ鹿の鳴くらむ
歌の意味
秋萩を見て心寂しく思っているからだろうか、山の麓が響くように鹿が鳴くようだ。
鑑賞
巻第四 秋歌上
萩は万葉集のころから女性に例えられてきた。また萩の花が咲く時期は鹿が妻を求めて鳴く時期とも重なる。物悲しい季節の秋に咲く萩を見た作者の一緒にいる人がいない寂しさを代弁するように鹿が鳴いているという意味か。
「うらびれ」はさびしく思っての意味。しょんぼりした様子。
「あしびき」は山にかかる枕詞。
「山下とよみ」は山の麓が鳴り響いての意味。
作者
よみ人しらず
出典
古今和歌集
その他の歌
山里は秋こそことに侘しけれ鹿の鳴く音に目をさましつつ
奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿のこゑ聞く時ぞ秋は悲しき
秋萩をしがらみふせて鳴く鹿の目には見えずて音のさやけさ
秋萩の花咲にけり高砂のをのへの鹿は今は鳴くらむ