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奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の
こゑ聞く時ぞ秋は悲しき

歌の意味
人里離れた奥山で紅葉を踏み分けて鳴いている鹿の鳴き声を聞く時が秋をとく悲しく感じられる。
鑑賞
巻第四 秋歌上

 是貞親王家の歌合せに番われた歌。

 秋になると雌を求めて鳴く鹿の声を聞くと、人恋しさが募って秋の物悲しさをより際立たせると詠まれている。赤や黄に彩られた美しい紅葉の山の情景とは対照的な作者の心情の歌である。
 「奥山に紅葉踏み分け」の句は鹿か作者かどちらが歩いたのか判然としないが鹿の鳴き声は遠くまでよく通るので鹿とするのが妥当なようだ。

 なお、『百人一首』ではこの歌は猿丸太夫(さるまるだゆう)の歌とされている。猿丸太夫は三十六歌仙の一人であるが詳細は諸説あり不明。

 
作者
よみ人しらず
出典
古今和歌集

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