古典和歌stream
表題
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古今和歌集
秋萩をしがらみふせて鳴く鹿の
目には見えずて音のさやけさ
歌の意味
秋萩がからむのを倒して鳴く鹿の姿は見えないが、その鳴き声ははっきりと聞こえる。
鑑賞
巻第四 秋歌上
萩が鹿の足や絡まって倒されるのを視覚的に表現してから「目には見えずて」と否定し、耳から入る鹿の鳴き声の印象が強調されている。
「しがらみ」は川を堰き止めたり、流れをゆるくするために杭を打って木の枝などを絡めたもので、ここでは後の「伏せて」と合わせて体や足に絡みつく萩を倒してという意味合いである。
作者
よみ人しらず
出典
古今和歌集
その他の歌
奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿のこゑ聞く時ぞ秋は悲しき
秋萩にうらびれをればあしびきの山下とよみ鹿の鳴くらむ
秋萩の花咲にけり高砂のをのへの鹿は今は鳴くらむ
秋萩の古枝に咲ける花見ればもとの心は忘れざりけり