古典和歌stream
表題
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古今和歌集
山里は秋こそことに侘しけれ
鹿の鳴く音に目をさましつつ
歌の意味
山里での秋はとりわけに侘しいものだ。夜になると鹿の鳴く声に眠りから覚まされて。
鑑賞
巻第四 秋歌上
是貞親王家の歌合せに番われた歌。
鹿は秋になると番いを求めて鳴き、その鳴き声は悲しいものとされる。眠っていてもその声に何度も目を覚ますのだが、人の少ない山里で聞くと人恋しさが募り物寂しい気持ちがより強くなると詠んでいる。
「侘し」はつらい、やりきれない、興ざめ、情けない、みずぼらしいなどの意味もあるが、この歌では物寂しい、心細いの意味。
作者
みぶのただみね
出典
古今和歌集
その他の歌
秋風にこゑを帆にあげてくる舟は天の門渡る雁にぞありける
うき事を思ひつらねて雁が音の鳴きこそ渡れ秋の夜な夜な
奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿のこゑ聞く時ぞ秋は悲しき
秋萩にうらびれをればあしびきの山下とよみ鹿の鳴くらむ