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秋風にこゑを帆にあげてくる舟は
天の門渡る雁にぞありける

歌の意味
秋風に吹かれ、声を帆のように張り上げて進む舟のように空の瀬戸を渡る雁であった。
鑑賞
巻第四 秋歌上

 寛平の御時の后宮の歌合せに番われた歌。

 秋風の中を一列に並んで飛ぶ雁を海を進む舟になぞらえている。雁の鳴く声が舟を漕ぐ音に似ていることから雁の声が高く秀でる意味の「秀(ほ)」と帆を高く張るをかけて詠まれたのだろう。

 「天の門(あまのと)」の「と」は瀬戸の戸のことで海が狭くなった場所のこと。単純に空を海に例えて表現したと考えるか天の川の狭くなった場所とする解釈もある。
作者
藤原菅根
出典
古今和歌集

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