古典和歌stream
表題
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古今和歌集
草も木も色はかはれどもわたつうみの
浪の花にぞ秋なかりける
歌の意味
草も木も色が変わるけれども、海に立つ浪の花には秋らしい様子は無いことだ。
鑑賞
巻第五 秋歌下
是貞親王家の歌合せに番われた歌。
秋になれば草木は枯れ色に変わるが海には一年中変わることがないと白波を花に見立てて詠んでいる。
波を花に見立てた歌は多く、当時よく使われた例えの一つ。
「わたうつみ」は海神(わだつみ)または海そのものを指す。この歌では後者の意味。
作者
文屋あさやす
出典
古今和歌集
その他の歌
里はあれて人はふりにし宿なれや庭もまがきも秋の野らなる
吹くからに秋の草木のしをるればむべ山風をあらしといふらむ
紅葉せぬときはの山は吹く風の音にや秋を聞きわたるらむ
霧立ちて雁ぞ鳴くなる片岡の朝の原は紅葉しぬらむ