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里はあれて人はふりにし宿なれや
庭もまがきも秋の野らなる

歌の意味
里は荒れて住んでいる人も年ととった家であるからだろうか、庭の垣根も秋の野原のようだ。
鑑賞
巻第四 秋歌上

 光孝天皇がまだ親王の時に布留の滝を見ようと御覧になろうと、おいでになった途中で遍昭の家にお泊りになり、庭を秋の野の趣に作って世間話のついでに詠んで奉った歌。

 年老いた人は作者である遍昭の母のことで、親王が宿泊する家なのでしっかりとしているのだろうが謙遜の意味で秋の野原のようと詠んでいる。「里はあれて人はふりにし」に布留の里の意味が込めれており、作者の親王に対する気遣いが感じられる。

 「ふりにし」は古くなってしまったの意味。
 「まがき」は真垣で現代の垣根のこと。
作者
僧正遍昭
出典
古今和歌集

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