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いたずらに過ぐす月日は思ほえで
花見てくらす春ぞすくなき

歌の意味
無意味に過ぎてゆく月日には何も思わないのに、花を見て暮らす春は少ないと感じる。
鑑賞
巻第七 賀歌

 貞保親王の后が五十歳の祝賀を賜ったときの御屏風に、桜の花の散るしたに人が花見をしているのを描いた様子の絵を見て詠んだ歌。

 祝宴では席の周囲に屏風を立てめぐらすことが多く、屏風の絵を歌にすることが通例としてあったようだ。桜の花を見ることができる期間が少ないのは長く生きてきたからこその感慨かもしれないが、無意味に生きるというのは祝いの歌として相応しいのだろうか。
作者
藤原おきかぜ
出典
古今和歌集
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