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表題
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伊勢物語
人知れず我こひ死なばあぢきなく
いづれの神になき名おほせる
歌の意味
誰にも事情を知られないまま私が恋い死んだなら、人々はどの神様に祟りだなどと無実の評判を負わせるだろう。
鑑賞
八十九 人知れず
身分の低くない男が、自分より身分の高い人を思い慕っていた。
歌は自分の思いを言い出せないまま何年か過ごしてしまった折に詠んだ。
誰にも知られず、高貴な女性を恋しながら死んで行くことは無念であるが、あの高貴な女性を恋いつづけた男として死にたいという気持ちが詠まれているのだろう。
在原業平と二条后を念頭において作られている。
作者
出典
伊勢物語
その他の歌
渡つ海のかざしにさすといはふ藻も君がためには惜しまざりけり
おほかたは月をもめでじこれぞこのつもれば人の老となるもの
桜花けふこそかくもにほふともあなたのみがた明日の夜のこと
惜しめども春のかぎりのけふの日の夕暮れにさへなりにけるかな