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萩の露玉に抜かむと取ればけぬ
よし見む人は枝ながら見よ

歌の意味
萩についた露を玉として糸を通そうと手に取ったら消えてしまった。仕方がない、これを観賞しようとする人は枝にあるままで見ることだ
鑑賞
巻第四 秋歌上

 萩についた露があまりにも美しかったので手に取って楽しみたかったのだろう。しかし触れれば当然ながら形を留めることができないので、露の美しさを見て楽しみたい人は枝に付いているままで見なさいと、自分の失敗を人に言う歌である。
 儚く美しいものは欲するのではなく、あるままを楽しめと作者に諭されている気分になる。

 歌の左注に、この歌はある人が言うには奈良の帝の歌であると、ある。

 「よし」は、ままよ、仕方がないの意味。
作者
よみ人しらず
出典
古今和歌集

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