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萩が花散るらむ小野の露霜に
濡れてをゆかむさ夜はふくとも

歌の意味
萩の花が散っているであろう野原の露に濡れながら行きましょう。夜は更けるとも。
鑑賞
巻第四 秋歌上

 万葉集に「秋萩の咲き散る野辺の夕霧に濡れつつ来ませ夜はふけぬとも」と詠まれた歌が収録されている。万葉集の歌は女性の歌であるが、この歌は男性の視点から詠まれている。恋慕う女に逢いに行くのに寒さや時間は関係ないといった心情か。
 "散るらむ"の"らむ"は推量の助動詞、"ゆかむ"の"む"は意思を表す助動詞で上の句と下の句の「む」の音でリズムついて歌の意味と合わせて小気味のいい響きがある。
作者
よみ人しらず
出典
古今和歌集

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