古典和歌stream

おく山の岩垣もみぢ散りぬべし
てる日のひかり見る時なくて

歌の意味
山の奥深く、切り立った岩崖に根をおろした紅葉が散ってしまいそうだ。輝く日の光を見ることもないままで。
鑑賞
巻第五 秋歌下

 宮廷に長い間、出仕しないで山里に引きこもって詠んだ歌。

 「照る日のひかり」は天皇を「おく山の岩垣もみぢ」は作者自身を寓している。病か何かの理由で朝廷に出仕できなくなり、山里に隠棲した自分の境遇を散りかけた紅葉に重ねて詠んでいる。自分の命が長くはないことを悟って、ひっそりと死んでゆくことに対しての諦念を感じさせる。

 作者の藤原関雄は朝廷で役職を歴任した後に病のために辞した後、東山にこもった。琴や書に秀でていて、東山進士と呼ばれた。
作者
藤原関雄
出典
古今和歌集

その他の歌