古典和歌stream
表題
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古今和歌集
わび人のわきて立ち寄る木の本は
たのむかげなくもみぢ散りけり
歌の意味
侘しく暮らす人がとりわけ立ち寄る木の下は、頼りにする木陰もなくなり紅葉も散ってしまった。
鑑賞
巻第五 秋歌下
雲林院の木陰にたたずんで詠んだ歌。
失意の人が頼りにしようとした木の紅葉が散ってしまって木陰も無くなってしまったと詠んでいる。
「雲林院」は京都紫野にあった寺院で、明天皇の第七皇子である常康親王が住んでいた場所である。おそらくは親王から庇護を受けていた作者が頼りにする人が居なくなったことを悲しんでいるのだろう。
作者
僧正遍昭
出典
古今和歌集
その他の歌
吹く風の色のちくさに見えつるは秋の木の葉の散ればなりけり
霜のたて露のぬきこそ弱からし山の錦のおればかつ散る
もみじ葉の流れて止まるみなとには紅深き浪や立つらむ
ちはやぶる神世もきかず竜田河唐紅に水くくるとは