君がゆく越のしら山知らずとも
ゆきのまにまにあとはたづねむ
- 歌の意味
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あなたが行く越の白山を知らなくても、雪の降るにまかせて、その跡を訪ね尋ねよう。
- 鑑賞
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75 越の白山
同じ堤の中納言が、蔵人所に勤める人が加賀の国守として赴任する際、別れを惜しむ夜に詠んだ歌である。地の文はこれだけで、段はこの一首をもって閉じられる。
堤の中納言は藤原兼輔。三十六歌仙の一人に数えられ、七十一段から七十四段まで続けて登場している。赴任する人については、蔵人所に勤めていた人という以外、地の文に記載がない。
場面は別れを惜しむ夜である。相手は加賀の国へ下ろうとしている。
詠出の直接の契機は、その送別の夜そのものである。
段はこの一首で終わり、相手の返しも後日のことも語られない。この歌は古今集に収められている。
「越のしら山」は加賀の国にある白山で、雪の深い山として知られる。赴任先を指す語として置かれている。
「しら山知らずとも」は、白山の「しら」と、知らないという意の「知ら」とを重ねる言い方である。同じ音を続けて畳みかける作りになっている。
「ゆきのまにまに」の「ゆき」に、雪と、行くことの「行き」とが掛かる。雪の降るにまかせて、と、あなたが行くにまかせて、とが重なる。
結句の「あとはたづねむ」の「あと」は足跡の意で、雪の上の跡と、去った人の消息とが重なる。雪に埋もれて跡は消えるはずだが、それでも尋ねようと言う。掛詞を重ねながら、別れの夜に相手を追っていく意志を述べた一首である。
蔵人所(くらうどどころ)——宮中の事務にあたる役所。
加賀の国——現在の石川県南部にあたる。
越(こし)——北陸地方の古称。
しら山——加賀の国にある白山。雪深い山として知られる。
ゆき——「雪」と「行き」との掛詞。
まにまに——〜にまかせて。〜のままに。
あと——足跡。また、消息。
たづぬ(下二段動詞)——尋ねる。訪ね求める。
- 出典
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大和物語
- その他の歌
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