たかくともなにかはせむくれ竹の
ひと夜ふた夜のあだのふしをば
- 歌の意味
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高くあってもどうしようもない。呉竹の一節二節のような、ひと夜ふた夜のかりそめの契りなど。
- 鑑賞
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90 あだの節
同じ修理の君に、今は亡き兵部卿の宮が手紙などをしていたとき、あなたのところに行きましょうとおっしゃるので、修理の君がそれに答えて詠んだのがこの歌である。地の文はこれだけで、段はこの一首をもって閉じられる。
修理の君は前の八十九段にも登場し、右馬頭と八首の贈答を交わしている。兵部卿の宮は兵部省の長官を務めた親王で、九段にも桃園の兵部卿の宮として登場するが、同じ人物かどうかは地の文が述べていない。
場面の時期や場所は明示されない。示されているのは、宮が手紙を寄こし、訪ねると言ってきたという経緯だけである。
詠出の直接の契機は、そちらへ行きましょうという宮の言葉である。歌はその返事として詠まれた。
段はこの一首で終わり、宮の反応も後日のことも語られない。この歌は新勅撰集に収められている。
「たかくともなにかはせむ」は、高くあってもどうしようもない、の意である。「たかし」は竹の丈が高いことと、身分が高いこととを兼ねる。「なにかはせむ」は反語で、何になろうか、いや何にもならない、と言う。
「くれ竹の」は、次の「ふし」を導く枕詞として働く。呉竹は節の多い竹である。
「ひと夜ふた夜」の「よ」に、夜と、竹の節と節のあいだをいう「節」とが掛かる。ひと夜ふた夜と、竹のひと節ふた節とが重なる。
結句の「あだのふしをば」の「あだ」は、かりそめの、実のない、の意である。「ふし」は竹の節と、共寝の意とを兼ねる。身分の高い相手からの誘いを、かりそめの契りとして退ける形になっている。竹の縁語で一貫させながら、断りを述べた一首である。
修理の君(すりのきみ)——修理にちなむ呼び名を持つ女性。
兵部卿の宮——兵部省の長官を務める親王。
たかし——竹の丈が高い。また、身分が高い。
なにかはせむ——何になろうか、いや何にもならない。反語を表す。
くれ竹——呉竹。節の多い竹。「ふし」を導く。
よ——「夜」と竹の「節」との掛詞。
あだ——かりそめの。実のない。
ふし——竹の節。また、共寝。
- 出典
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大和物語
- その他の歌
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