草の葉にかかれる露の身なればや
心動くに涙おつらむ
- 歌の意味
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草の葉にかかる露のような身であるからだろうか。心が動くだけで涙が落ちるのだろう。
- 鑑賞
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123 心動くに
同じ増喜法師が、誰に贈った歌か分からないが、詠んだ歌である。地の文はこれだけで、段はこの一首をもって閉じられる。
増喜法師は前の百二十二段にも登場し、志賀寺でとしこと歌をやりとりしている。贈った相手については、誰に贈ったのか分からないと地の文が記すのみである。
場面の時期や場所は明示されない。
詠出の直接の契機は地の文に記されない。
段はこの一首で終わり、相手の返しも後日のことも語られない。
「草の葉にかかれる露の身」は、草の葉にかかる露のような身、の意である。露は少し揺れただけでこぼれ落ちるもので、そのはかなさが自分に重ねられる。
「なればや」は、〜であるからだろうか、という疑問である。理由を推し量る形をとる。
「心動くに」は、心が動くだけで、の意である。葉が揺れることと、心が動くこととが、同じ動きとして重なる。
結句の「涙おつらむ」は、涙が落ちるのだろう、という推量である。露がこぼれることと、涙が落ちることとが一つになる。葉と露、揺れと涙という対応が全体を貫いており、僧の身でありながら心が揺れることを、露の性質として説明した一首である。
増喜(ぞうき)法師——僧の名。
草の葉——草の葉。
かかる(四段動詞)——露が置く。かかる。
露(つゆ)——露。はかないもののたとえ。
なればや——〜であるからだろうか。
動く(四段動詞)——動く。揺れる。
おつ(上二段動詞)——落ちる。
らむ——〜しているのだろう。現在の推量。
- 出典
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大和物語
- その他の歌
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