私の体がどこでも吹き通ってゆく風になれば、あなたの住む美しい簾(すだれ)の透き間を探して中に入って行くことができのだが。
海人が刈り取る海藻に住む虫の名前の、われからではないが、この度のことは私自身のせいだと声をあげて泣こう。あの人との仲をけっして恨むつもりはない。
このような生きているとも言えないような私の有様を知らないで、それどもいつかは逢えるかもしれないと、あの人が思っているだろうことが悲しい
昨日も今日も雲が立ち上がり、舞うようにして雲のなかに山が姿を隠し続けていたのは、梢に花が咲いたように雪を積もらせている林を、人に見せたくないということであったのだ。
混乱して理性もなくなって何の分別もつかないぐらい取り乱してしまった。夢のことか現実のことかは今夜はっきりとさせてください。
斎宮寮の入り江は徒歩で歩いて渡っても裾が濡れないほど浅いので、また逢坂の関を越えて都に帰るでしょう。その時またお会いしましょう。