梅が枝にもの憂きほどに散る雪を
花とも言はじ春の名立てに
- 歌の意味
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梅の枝に、うんざりするほど散りかかる雪を、花だなどとは言うまい。春の悪い評判になるから。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 28
詞書は前の歌に続き「春歌」の扱い
ここから梅を主題とする一連が始まる。この歌は梅の枝に降りかかる雪を花と言い做すことを、あえて拒む形で詠む。第十九首が雪を花と見よと命じ、第二十二首が花と見分けられないと戸惑ったのに対し、この歌は花とは言わないと断る。同じ趣向を三段階で扱う配列になっている。原文では詞書が改めて記されていない。
作者の源重之(生年未詳〜一〇〇〇頃)は清和源氏の出で、三十六歌仙の一人である。諸国を巡り、陸奥へも下った。家集に『重之集』がある。
場面は梅の咲くころ、場所は特定されない。
詠まれた直接の契機は伝わらない。
初句
二句「梅が枝にもの憂きほどに」の「ものうし」は、気が進まない、わずらわしいの意である。雪が降りかかる量の多さを、心情の語で表している。
三句「散る雪を」の「散る」は本来花に用いる語で、雪に使うことで花との紛らわしさが語のうえでも生じている。
四句「花とも言はじ」の「じ」は打消意志の助動詞で、言うまい、の意である。見立てを拒む宣言がここに置かれる。
結句「春の名立てに」の「名立て」は評判を立てること、浮き名を立てることをいう。雪を花と言えば、実際には花が咲いていないのに咲いたと言い触らすことになり、春の名を汚す、という理屈である。「に」は原因を表す。
見立てという歌の常套を、当の歌の中で否定してみせる点に機知がある。梅の一連の入口に、花そのものではなく花に紛れる雪を置いたところにも配列の工夫がうかがえる。
もの憂し:気が進まない。わずらわしい
名立て:評判を立てること。浮き名を立てること
じ:打消意志の助動詞。〜まい
- 作者
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源重之
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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