- 歌の意味
-
梅の枝で鳴きながら移り動く鴬の羽が白くなるほどに、淡雪が降っている。
- 鑑賞
-
巻第一 春歌上 30
詞書は前の歌に続き「題しらず」の扱い
梅と鴬と雪という、ここまでの主題を一首に集めた歌である。梅の一連に挿まれた万葉調の二首目にあたる。原文では詞書が改めて記されていない。
作者は「よみ人しらず」とあり、人名は伝わっていない。
場面は梅の咲くころ、場所は特定されない。
詠まれた直接の契機は伝わらない。
初句
二句「梅が枝に鳴きて移ろふ」の「移ろふ」は、位置を移す、移り動くの意である。ここでは鴬が枝から枝へ移るさまをいう。鳴きながら動くという二つの動作が同時に捉えられている。
三句「鴬の」は下の「羽」に係る。
四句「羽白妙に」の「白妙」は楮の繊維で織った白い布で、転じて白いことそのものを表す。鴬の羽は本来くすんだ緑褐色であり、それが白く見えるほど雪が積もっているという誇張になっている。
結句「淡雪ぞ降る」は第十九首
第二十首と同じ結びで、「ぞ」の係り結びが用いられている。本巻ではこの結句が三度目である。
動いている鳥の羽に雪が積もるという捉え方には無理があるが、そのわずかな誇張によって、雪の細かさと降り方の激しさが同時に示される。梅
鴬
雪という春の三つの景物を一首に収めた点で、ここまでの一連をまとめる位置にある。
移ろふ:位置を移す。移り動く
白妙:楮の繊維で織った白い布。転じて白いこと
- 作者
-
よみ人しらず
- 出典
-
新古今和歌集
- その他の歌
-