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わが宿の梅の立ち枝や見えつらん
思ひのほかに君が来ませる

歌の意味
我が家の梅の高く伸びた枝が見えたのだろうか。思いがけずあなたがおいでになった。
鑑賞
巻第一 春歌 15

詞書「冷泉院御屏風の絵に、梅の花ある家にまらうど来たる所」
 思いがけず客人が訪ねてきたのを、我が家の梅の高い枝が遠くから見えて、それに誘われたのだろうかと喜ぶ歌である。梅の花を目当てに人が訪れるという発想で、来訪の喜びを花に託している。詞書によれば、冷泉院の御屏風の絵に、梅の花のある家に客人がやって来た場面が描かれていたのに添えた歌である。
 作者の「平兼盛」は平安時代中期の歌人で、光孝天皇の流れをくみ、篤行王の子として平の姓を賜った。三十六歌仙の一人に数えられる。

 初句「わが宿の」は、本巻の第九首と同じ初句で、自分の家の梅から歌い起こす。
 二句「梅の立ち枝や」は、高く伸びた枝の意で、「や」は疑問の係助詞で三句の「らん」で結ぶ。
 三句「見えつらん」は、「つ」が完了、「らん」が現在推量の助動詞で、見えたのだろうかと推し量る。三句切れである。
 四句「思ひのほかに」は、思いがけずの意で、絵の中の客人の突然の来訪を示す。
 結句「君が来ませる」は、「ます」が尊敬の補助動詞で、来訪した人への敬意を表す。

たちえ:高く伸びた枝
きます:「来」の尊敬語。おいでになる
作者
平兼盛
出典
拾遺和歌集
前の歌
降る雪に色はまがひぬ梅の花 香にこそ似たるものなかりけれ
次の歌
香をとめて誰折らざらん梅の花 あやなし霞立ちな隠しそ