香をとめて誰折らざらん梅の花
あやなし霞立ちな隠しそ
- 歌の意味
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香りをたどって探しあて、誰が折らずにいるだろうか、梅の花を。むだなことだ、霞よ、立ちこめて隠さないでくれ。
- 鑑賞
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巻第一 春歌 16
詞書「斎院御屏風に」
梅の花は香りをたどって誰でも探しあてて折りに来るのだから、霞が立ちこめて隠してもむだであると、霞に呼びかける歌である。香りでありかが知れる梅を隠そうとする霞の無意味さを、軽い戯れの口調で詠んでいる。詞書によれば、斎院の御屏風に添えた歌である。
作者の「みつね」は凡河内躬恒である。古今和歌集の撰者の一人で、紀貫之と並び称された。三十六歌仙の一人に数えられる。
初句「香をとめて」は、「とむ」が尋ね求める意で、香りを頼りに梅のありかを探しあてることをいう。
二句「誰折らざらん」は、誰が折らないでいるだろうか、誰もが折るという反語である。
三句「梅の花」は、反語の対象として置かれ、三句切れとなる。
四句「あやなし霞」は、「あやなし」が道理に合わない、むだだの意で、ここで霞に呼びかける。
結句「立ちな隠しそ」は、「な〜そ」の禁止の形で、霞よ立って隠すな、の意である。本巻の第三十八首、第四十二首でも、雲や霞に花を隠すな、隔てるなと呼びかけている。
とむ:尋ね求める。探し求める
- 作者
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凡河内躬恒
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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わが宿の梅の立ち枝や見えつらん 思ひのほかに君が来ませる
- 次の歌
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白妙の妹が衣に梅の花 色をも香をも分きぞかねつる