奥山の峰飛び越ゆる初雁の
はつかにだにも見てや止みなん
- 歌の意味
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奥山の峰を飛び越えてゆく初雁のように、ほんのわずかに見ただけで、それで終わってしまうのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 1018
詞書「題しらず」
遠くから見るだけの恋を詠む一連の一首目である。奥山の峰を飛び越えてゆく初雁の姿に寄せて、ほんのわずかに見ただけで終わるのかと嘆く。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「躬恒」は『古今和歌集』の撰者の一人である。甲斐や和泉などの地方官を務め、紀貫之と並び称された。
初句「奥山の」は、人里から遠く離れた奥深い山の、の意で、相手との隔たりを示す。
二句「峰飛び越ゆる」は、峰を飛び越えてゆく、の意で、たちまち視界を去る雁の姿を描く。
三句「初雁の」の初雁は、秋にはじめて渡ってくる雁である。初句からここまでが、同じ音を重ねて「はつか」を導く序詞となる。
四句「はつかにだにも」の「はつか」は、ほんのわずか、の意で、「だにも」がそのわずかさを強める。
結句「見てや止みなん」の「や」は疑問の係助詞で、「なん」で結ぶ。巻頭の第九百九十首の二句「見てや止みなん」と同じ句で結ばれ、巻頭の峰の白雲に対して、ここでは峰を越える初雁が詠まれる。遠く見るだけの恋が、峰の景物を替えて繰り返されている。次歌の亭子院歌も、巻頭歌の初句の語「よそにのみ」を用いている。
はつかり:秋にはじめて北から渡ってくる雁
- 作者
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凡河内躬恒
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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幾かへり咲き散る花をながめつつ 物思ひ暮らす春に逢ふらん
- 次の歌
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大空を渡る春日の影なれや よそにのみしてのどけかるらん