古典和歌stream

和泉式部日記 - 和泉式部

かほる香によそふるよりは郭公
きかはや同し聲やまさると

橘の香りになぞらえて昔の人を偲ぶよりは、ほととぎすの声を聞きたいものだ。亡き宮と同じ声なのか、それともまさっているのかと。

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和泉式部日記 - 敦道親王

同しえになきつゝをりし郭公
聲はかはらぬものとしらなん

同じ枝で鳴きながら過ごしていたほととぎすだ。その声は兄と変わらないものだと知ってほしい。

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和泉式部日記 - 敦道親王

うちいてゝもありにし物を中々に
苦しきまても歎くけふ哉

口に出さずにいてもよかったのに、なまじ打ち明けたばかりに、苦しいまでに嘆く今日であることよ。

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和泉式部日記 - 和泉式部

けふのまの心にかへて思ひやれ
詠めつゝのみすくす月日を

今日一日だけのあなたのお気持ちに引き比べて、思いやってほしい。物思いにふけってばかりで過ごしている私の月日を。

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和泉式部日記 - 敦道親王

語らはは慰む方もありやせん
いふかひなくは思はさらなむ

語り合ったならば、心が慰められることもあるだろうか。話しても甲斐のない相手だとは思わないでほしい。

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和泉式部日記 - 和泉式部

慰むときけは語らまほしけれと
みの憂事にいふかひそなき

心が慰められると聞けば、お話ししたいとは思うけれど、わが身のつらさを思うと、話しても甲斐がない。

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和泉式部日記 - 敦道親王

はかもなき夢をたにみて明しては
何をか夏の夜語りにせむ

はかない夢さえ見ないで、このまま夜を明かしてしまったら、何を短い夏の夜の語り草にしようか。

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和泉式部日記 - 和泉式部

よと共にぬるとは袖を思ふみも
のとかに夢を見る宵そなき

いつも涙で袖が濡れていると思っている身にも、のどかに夢を見る宵などない。

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和泉式部日記 - 敦道親王

戀といへはよの常のとや思ふ覽
今朝の心はたくひたになし

恋と言えば、世間によくあるものだと思っているだろうか。今朝の私の心は、たとえるものさえないほどなのに。

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和泉式部日記 - 和泉式部

よの常の事ともさらにおもほえす
初て物をおもふみなれは

世間によくあることなどとは、まったく思われない。私は初めて恋の物思いをする身なのだから。

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和泉式部日記 - 和泉式部

またましもかはかり社︀は有まし[か]
思もかけぬけふの夕暮

約束してお待ちしていたとしても、これほどつらくはあっただろうか。おいでを思いもかけない今日の夕暮れなのに。

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和泉式部日記 - 敦道親王

ひたすらにまつ共いはゝ休らはて
行へきものを妹か家路に

ひたすら待っているとさえ言ってくれたならば、ためらうことなく行くはずなのに。あなたの家への道を。

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和泉式部日記 - 和泉式部

かゝれとも覺束なくも思ほへて
是も昔のえにこそあるらめ

こうしておいでがなくても、気がかりに思われて、これも前世からの縁なのだろう。

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和泉式部日記 - 和泉式部

郭公よに隱れたる忍ひねを
いつかはきかんけふしすきなは

ほととぎすが世に隠れてひそかに鳴く忍び音を、いつ聞くことができようか。今日という日が過ぎてしまったならば。

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和泉式部日記 - 敦道親王

忍ひねはくるしきものを郭公
こたかき聲をけふよりはきけ

人目を忍んで鳴く忍び音は苦しいものなのに。ほととぎすの梢高く鳴く声を、今日からは聞きなさい。

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和泉式部日記 - 敦道親王

いさやまたかゝる思を知ぬ哉
あひてもあはて明るものとは

いやもう、まだこのような思いは知らなかったことだ。逢っていながら契りも結ばずに夜が明けるものだとは。

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