千歳まで限れる松も今日よりは
君にひかれて万代や経む
- 歌の意味
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千年までと寿命の限られた松も、今日からはあなたに引かれて、万年を過ごすことだろうか。
- 鑑賞
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巻第一 春歌 24
詞書「入道式部卿の親王の、子の日し侍りける所に」
千年と寿命の定まった松でさえ、子の日にあなたに引かれた今日からは、あなたの長寿にあやかって万年を経るだろうと、主人の長寿を祝う歌である。松の千年をさらに上回る万代を言うことで、祝意をいっそう強めている。詞書によれば、入道式部卿の親王が子の日の遊びをした所で詠まれた歌である。入道式部卿の親王は宇多天皇の皇子敦実親王のことで、出家後もこの呼び名で呼ばれた。
作者の「大中臣よしのふ」は大中臣能宣である。伊勢神宮の祭主を務めた家の出で、梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進に関わった。三十六歌仙の一人に数えられる。
初句「千歳まで」は、松の寿命とされた千年をいう。
二句「限れる松も」は、千年と限りの定まった松も、の意で、「も」が添加を表す。
三句「今日よりは」は、子の日の今日を境にすることを示す。
四句「君にひかれて」は、子の日の小松として「引かれ」る意と、君の長寿に引き寄せられる意を掛けた掛詞で、前歌の「ひかまし」と同じく引く行為に祝意を込める。
結句「万代や経む」は、「や」が疑問の係助詞で、推量の「む」と呼応して結ぶ。千年に対して万代を据え、祝意を高めている。
ひく:子の日に小松を引き抜く意と、引き寄せられる意を掛ける
よろづよ:限りなく長い年月
ふ:時を過ごす。経る
- 作者
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大中臣能宣
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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子の日する野辺に小松のなかりせば 千代のためしに何をひかまし
- 次の歌
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梅の花まだ散らねども行く水の 底にうつれる影ぞ見えける