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咲き咲かずよそにても見む山桜
峰の白雲立ちな隠しそ

歌の意味
咲いていても咲いていなくても、遠くからでも見よう、山桜を。峰の白雲よ、立ちこめて隠さないでくれ。
鑑賞
巻第一 春歌 38

詞書「天暦九年内裏歌合に」
 山桜が咲いていても咲いていなくても、せめて遠くから眺めたいので、峰の白雲よ立ちこめて隠すなと呼びかける歌である。花の有無にかかわらず山を見つめ続けたいという、桜を待つ心の強さが表れている。詞書によれば、村上天皇の天暦九年に内裏で催された歌合に出された歌である。

 初句「咲き咲かず」は、咲いても咲かなくても、の意である。
 二句「よそにても見む」は、離れたところからでも見よう、の意である。
 三句「山桜」は、見る対象として置かれ、三句切れとなる。前歌の吉野の花に続き、山の桜を詠む。
 四句「峰の白雲」は、山桜を隠すものとして白雲に呼びかける。
 結句「立ちな隠しそ」は、「な〜そ」の禁止の形で、本巻の第十六首と同じ結句である。第十六首が霞に梅を隠すなと呼びかけたのに対し、本歌は白雲に桜を隠すなと呼びかけている。

よそ:離れた所。遠く
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
吉野山絶えず霞のたなびくは 人に知られぬ花や咲くらん
次の歌
吹く風に争ひかねてあしひきの 山の桜はほころびにけり