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吹く風に争ひかねてあしひきの
山の桜はほころびにけり

歌の意味
吹く春風に抗いきれずに、山の桜はほころびてしまった。
鑑賞
巻第一 春歌 39

詞書「題しらず」
 春風に争いきれず山の桜がほころびたと、開花を風との攻防に見立てて詠む。桜を人に見立て、こらえきれずにつぼみを開くさまを描いている。

 初句「吹く風に」は、桜を咲かせる力として風を示す。
 二句「争ひかねて」は、争いきれずに、の意で、桜を擬人化している。
 三句「あしひきの」は「山」にかかる枕詞である。
 四句「山の桜は」は、前歌の山桜を受ける。
 結句「ほころびにけり」は、つぼみが開く意の「ほころぶ」に、完了と詠嘆を表す「にけり」を添える。「ほころぶ」は縫い目が解ける意もあり、風に争うさまとあわせて桜を人に見立てている。

ほころぶ:つぼみが開く。また、縫い目が解ける
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
咲き咲かずよそにても見む山桜 峰の白雲立ちな隠しそ
次の歌
浅緑野辺の霞はつつめども こぼれて匂ふ花桜かな