置き所なき思ひとし聞きつれば
我にいくらもあらじとぞ思ふ
- 歌の意味
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置き所もない思いだと聞いたので、その思いは私のところにはいくらもないのだろうと思う。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌六 1053
詞書「返し」
置き所のない思いだと聞いたので、私のもとにはいくらもないのだろうと思う、と詠んだ歌である。前歌の「置き所なき」を受け、置き場所がないというなら、その思いは自分にはいくらも向けられていないのだろうと、男の言葉をからかうように返している。
詞書によれば、前歌の第千五十二首への女の返しである。前歌が思いは「君にある」と言ったのに対し、本歌は「我にいくらもあらじ」と、思いの多さと少なさを反転させて応じている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「置き所」は、置く場所、の意で、前歌の四句を受けている。
二句「なき思ひとし」は、ない思いだと、の意で、「し」は強めの副助詞である。
三句「聞きつれば」は、聞いたので、の意で、「つれ」は完了の助動詞「つ」の已然形である。
四句「我にいくらも」は、私にはいくらも、の意で、前歌の二句「思ひは君に」に対している。
結句「あらじとぞ思ふ」は、ないだろうと思う、の意で、「じ」は打消しの推量、「ぞ」は強めの係助詞で、連体形「思ふ」で結ぶ係り結びとなっている。
おきどころ:置く場所
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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数知らぬ思ひは君にあるものを 置き所なき心地こそすれ
- 次の歌
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わがたちて着るこそうけれ夏衣 おほかたとのみ見べき薄さを