後れゐてわが恋ひ居れば白雲の
たなびく山を今日や越ゆらん
- 歌の意味
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あとに残されて私が恋しく思っていると、あの人は白雲のたなびく山を、今日は越えているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第六 別歌 335
詞書「題しらず」
あとに残されて恋しく思っている間に、旅立った人は今日、白雲のたなびく山を越えているのだろうかと思いやる歌である。都に残る自分と、遠い山路を行く旅人とを対照させ、遠ざかっていく人への思いを表している。
初句「後れゐて」は、あとに残されて、の意である。本巻の第三百二十三首、第三百二十四首の「後るる袖」と同じく、残される側の心を詠んでいる。
二句「わが恋ひ居れば」は、私が恋しく思っていると、の意で、已然形に「ば」がついている。
三句「白雲の」は、白い雲の、の意である。本巻の第三百四首、第三百十一首と同じく、雲が遠い隔たりを表している。
四句「たなびく山を」は、横に長く引いている山を、の意である。
結句「今日や越ゆらん」は、今日は越えているのだろうか、の意で、「や」は疑問の係助詞、「らん」は現在推量の助動詞である。前歌の都に残る者の心を受け、ここでも残る者が旅人を思いやっている。
たなびく:雲や霞が横に長く引く
おくる:あとに残される。先立たれる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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君はよし行く末遠し止まる身の 待つほどいかがあらんとすらん
- 次の歌
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命をぞいかならむとは思ひこし 生きて別るる世にこそありけれ