命をぞいかならむとは思ひこし
生きて別るる世にこそありけれ
- 歌の意味
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命のほうこそ、どうなるのだろうかと案じてきた。ところが、生きたまま別れなければならない世の中であったのだ。
- 鑑賞
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巻第六 別歌 336
詞書は前の歌に続き「題しらず」
これまで命がどうなるかとばかり案じてきたが、生きながらにして別れなければならない世の中であったのだと気づく歌である。死による別れだけを恐れていた者が、生きたままの別れの苦しさに初めて直面した驚きと嘆きを表している。
作者の「右衛門」が誰を指すかについては定説を見ない。右衛門は、父や夫などの官職にちなむ女房の呼び名である。
初句「命をぞ」は、命のほうを、の意で、係助詞「ぞ」による強調である。
二句「いかならむとは」は、どうなるのだろうかとは、の意である。
三句「思ひこし」は、思ってきた、の意で、「こし」はカ変動詞「来」の連用形に過去の助動詞「き」の連体形がついた形であり、係助詞「ぞ」を受けて結ぶ。ここで句切れとなる。
四句「生きて別るる」は、生きたまま別れる、の意で、初句の「命」と対をなしている。本巻の第三百七首と同じく、別れというものそのものを見つめている。
結句「世にこそありけれ」は、世の中であったのだ、の意で、「けれ」は気づきの詠嘆を表し、係助詞「こそ」を受けて已然形で結ぶ。
おもひく:思い続けてくる。思ひ来
- 作者
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右衛門
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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後れゐてわが恋ひ居れば白雲の たなびく山を今日や越ゆらん
- 次の歌
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昔見しいきの松原こと問はば 忘れぬ人もありと答へよ