つらしとや言ひ果ててまし白露の
人に心はおかじと思ふを
- 歌の意味
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薄情だとすっかり言い切ってしまおうか。白露が置くように、あの人に心の隔てを置くまいと思っているのに。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌五 893
詞書「つれなく見え侍りける人に」
薄情だと言い切ってしまおうか、あの人には心の隔てを置くまいと思っているのに、と詠んだ歌である。冷たい相手を恨みたい気持ちと、それでも心を隔てたくない気持ちの間で揺れる心を詠んでいる。
詞書によれば、冷淡に見えた人に送った歌である。次歌の第八百九十四首も露の語を用い、露に寄せた歌が二首続いている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「つらしとや」は、薄情だと、の意で、「や」は疑問の係助詞である。
二句「言ひ果ててまし」は、すっかり言い切ってしまおうか、の意で、「まし」はためらいを表す助動詞で、「や」を受けて結んでいる。ここで句切れとなる。
三句「白露の」は、白露が置くように、の意で、「置く」を導き、四句以下の「おかじ」にかかっている。
四句「人に心は」は、あの人に対して心は、の意である。
結句「おかじと思ふを」は、隔てを置くまいと思うのに、の意で、「おかじ」に露が「置く」意と、心の隔てを「置く」意を掛けている。「を」は逆接の接続助詞である。
おく:露が「置く」意と、心に隔てを「置く」意を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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おぼろけの海人やはかづく伊勢の海の 浪高き浦に生ふるみるめは
- 次の歌
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長らへば人の心も見るべきに 露の命ぞ悲しかりける