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頼めこし君はつれなし秋風は
今日より吹きぬわが身悲しも

歌の意味
頼りにさせてきたあなたはつれない。秋風は今日から吹き始めた。わが身が悲しいことだ。
鑑賞
巻第五 秋歌上 219

詞書「物思ひ侍りけるころ、秋立つ日人につかはしける」
 頼みにさせてきた相手はつれなく、今日から秋風も吹き始めたと、わが身の悲しさを訴えた歌である。相手の心の冷たさと、立秋の風の冷たさを重ねている。
 詞書によれば、もの思いに沈んでいたころ、立秋の日に相手のもとへ送ったものである。前二首と同じく立秋の日を詠みつつ、恋の嘆きを主題としている。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「頼めこし」の「頼め」は下二段活用の「頼む」で、頼りにさせる、期待させる、の意、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
 二句「君はつれなし」は、あなたはつれない、の意で、ここで句切れとなる。
 三句「秋風は」の「秋」には、相手に飽きられる意の「飽き」が響いている。
 四句「今日より吹きぬ」の「ぬ」は完了の助動詞で、今日から吹き始めた、の意である。前二首と同じく、立秋の日の風を詠んでいる。ここで句切れとなる。
 結句「わが身悲しも」の「も」は詠嘆の終助詞で、わが身が悲しいことだ、と嘆きを直接に表している。

たのむ:下二段活用で、頼りにさせる、期待を持たせる
ものおもふ:恋などのためにあれこれと思い悩む
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
打ちつけに物ぞ悲しき木の葉散る 秋の初めを今日ぞと思へば
次の歌
いとどしく物思ふ宿の荻の葉に 秋と告げつる風のわびしさ