いで人は言のみぞよき月草の
うつし心は色ことにして
- 歌の意味
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いやもう、あの人は言葉ばかりがよいのだ。月草で染めた色が移ろいやすいように、移り気な本心は、言葉とは違う色をしていて。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 711
詞書「題しらず」
相手の言葉はうわべばかりよく、その本心は月草の色のように移ろいやすく、言葉とは違っていると嘆く歌である。すぐに色あせる月草の染め色に、心変わりしやすい人の心を重ねている。
本巻の第六百八十八首で「言の葉」の変わらなさを皮肉ったのと同じく、言葉と心の食い違いを主題としており、次歌の第七百十二首、第七百十三首の「偽り」の歌へと続いていく。
初句「いで人は」の「いで」は、いやもう、さあの意の感動詞で、嘆きを込めて相手を突き放す調子を表す。
二句「言のみぞよき」は、言葉だけがよいの意で、係助詞「ぞ」を形容詞の連体形「よき」で結び、ここで句切れとなる。
三句「月草の」は、露草の古名で、その花で染めた色が褪せやすいことから四句の「うつし」を導く。
四句「うつし心は」の「うつし」は、色が移ることの「移し」と、正気の心、本心の意の「現し」を掛けた掛詞である。
結句「色ことにして」は、言葉とは色が異なっての意で、「こと」は「異」であり、心が言葉と違うことを色にたとえている。
つきくさ:露草の古名。花で染めた色は褪せやすい
うつしごころ:色が移る意の移しと、正気の心の意の現し心を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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誰が里に夜離れをしてか郭公 ただここにしも寝たる声する
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偽りのなき世なりせばいかばかり 人の言の葉うれしからまし