誰が里に夜離れをしてか郭公
ただここにしも寝たる声する
- 歌の意味
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ほととぎすよ、どこの誰の里への夜の訪れを絶ってきたのか。ほかでもないこの私のところで、寝ているような声がすることだ。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 710
詞書「題しらず」
ほととぎすが自分の家のあたりで寝ているような声で鳴くのを聞き、どこかの里への夜の訪れを絶ってきたのだろうかと問いかける歌である。ほととぎすに託して、他の女のもとへの通いを絶ってここに来た男の移り気を見つめ、やがて自分も同じ目にあうのではないかという不安をにじませている。
前の二首の多情な相手への嘆きを受け、ほととぎすの声という季節の景物によって男の移り気を詠んでいる。本巻の第七百十九首でも「郭公」に呼びかける形で、心変わりをめぐる思いが詠まれている。
初句「誰が里に」は、誰の住む里にの意で、ほかの女の存在を暗示している。
二句「夜離れをしてか」は、夜の訪れを絶ってきたのかの意で、係助詞「か」が結句の「する」と係り結びをなす。
三句「郭公」は、ほととぎすで、夏の夜に鳴く鳥として恋歌にも詠まれた。ここでは呼びかけとなっている。
四句「ただここにしも」は、ほかでもないここにの意で、「しも」は強意の副助詞である。
結句「寝たる声する」は、寝ているような声がするの意で、二句の「か」を受けて連体形の「する」で結ぶ。
よがれ:男が女のもとに夜通わなくなること
ほととぎす:初夏に渡来して鳴く鳥。古今和歌集では郭公と表記される
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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玉葛這ふ木あまたになりぬれば 絶えぬ心のうれしげもなし
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いで人は言のみぞよき月草の うつし心は色ことにして