偽りのなき世なりせばいかばかり
人の言の葉うれしからまし
- 歌の意味
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もしこの世に偽りというものがなかったなら、どれほどあの人の言葉がうれしかったことだろう。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 712
詞書「題しらず」
偽りのない世であったなら相手の言葉をどれほど喜べただろうにと、言葉を信じきれない悲しみを詠んだ歌である。反実仮想の「せば…まし」を用い、現実には偽りが多いために素直に喜べないという嘆きを、平明な言葉で表している。
前歌の「言のみぞよき」を受け、次歌の第七百十三首と「偽り」の語を共有して対をなしている。「言の葉」は本巻の第六百八十八首にも詠まれた語である。
初句「偽りの」は、うそ、偽りをいう。次歌の初句「偽りと」と同じ語で始まっている。
二句「なき世なりせば」は、ない世であったならの意で、過去の助動詞「き」の未然形「せ」に「ば」が付いた反実仮想の条件である。
三句「いかばかり」は、どれほどの意の副詞である。
四句「人の言の葉」は、あの人の言葉の意で、相手の誓いの言葉を指す。
結句「うれしからまし」は、うれしかっただろうにの意で、二句の「せば」と呼応する反実仮想の「まし」で結ぶ。
いつはり:うそ
ことのは:言葉
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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いで人は言のみぞよき月草の うつし心は色ことにして
- 次の歌
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偽りと思ふものから今さらに 誰がまことをか我は頼まむ