偽りと思ふものから今さらに
誰がまことをか我は頼まむ
- 歌の意味
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あの人の言葉を偽りだと思いながらも、今さら、ほかの誰の真心を私は頼りにしようか。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 713
詞書「題しらず」
相手の言葉が偽りだとわかっていながら、今さらほかに頼る人もいないと、偽りと知りつつ頼るほかない身の悲しさを詠んだ歌である。偽りの中で生きるしかない現実を見つめる、諦めのこもった一首である。
前歌の第七百十二首と「偽り」の語で始まる対をなしており、前歌が偽りのない世という仮定を夢見るのに対して、本歌は現実の中での諦めを詠んでいる。
初句「偽りと」は、あの人の言葉を偽りだとの意で、前歌の初句「偽りの」を受けている。
二句「思ふものから」は、思いながらもの意で、「ものから」は逆接の接続助詞である。
三句「今さらに」は、今となってはの意の副詞で、長く続いてきた仲であることをうかがわせる。
四句「誰がまことをか」は、誰の真心をの意で、係助詞「か」が結句の「む」と係り結びをなす。
結句「我は頼まむ」は、私は頼りにしようかの意で、四句の「か」を受けて推量の「む」の連体形で結び、反語の意を表す。
いつはり:うそ
まこと:真心、誠実
たのむ:頼りにする
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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偽りのなき世なりせばいかばかり 人の言の葉うれしからまし
- 次の歌
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秋風に山の木の葉の移ろへば 人の心もいかがとぞ思ふ