いとどしく物思ふ宿の荻の葉に
秋と告げつる風のわびしさ
- 歌の意味
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ただでさえもの思いをしている家の荻の葉に、秋が来たと告げた風のわびしさよ。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌上 220
詞書「おもふこと侍りけるころ」
ただでさえ思い悩んでいる家の荻の葉を鳴らして、秋の訪れを告げた風のわびしさを詠んだ歌である。荻の葉ずれの音によって、悩みの上にさらに秋の寂しさが加わる心を表している。
詞書によれば、思い悩むことがあったころに詠んだものである。前歌に続いて、もの思いの身に秋の風が吹く歌が置かれている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
なお本文の結句は「風のわびしさ」とあり、読み仮名の行の「かせのわひしき」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「いとどしく」は、ますます、いっそう、の意で、もとからのもの思いがさらに深まることを表す。
二句「物思ふ宿の」は、もの思いをしている家の、の意である。前歌の第二百十九首の詞書「物思ひ侍りけるころ」に通じる心を受けている。
三句「荻の葉に」は、荻の葉に、の意で、葉ずれの音で秋風の訪れを知らせる草として詠まれている。本巻の第二百六十六首でも、荻の葉のなびきに山里の寂しさを思いやっている。
四句「秋と告げつる」は、秋が来たと告げた、の意で、「つる」は完了の助動詞「つ」の連体形である。前歌と同じく「秋」には「飽き」の響きがある。
結句「風のわびしさ」は、風のわびしさよ、の意で、体言止めにより、わびしい思いの余韻を残している。
をぎ:水辺に生えるイネ科の草、葉ずれの音で秋風の訪れを知らせるものとされた
やど:家、住まい
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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頼めこし君はつれなし秋風は 今日より吹きぬわが身悲しも
- 次の歌
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秋風のうち吹きそむる夕暮れは そらに心ぞわびしかりける