うつくしと思ひし妹を夢に見て
起きて探るになきぞ悲しき
- 歌の意味
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いとしいと思った妻を夢に見て、目覚めて手探りしても、そこにいないのが悲しい。
- 鑑賞
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巻第二十 哀傷 1302
詞書「題しらず」
いとしいと思った妻を夢に見て、起きて手探りしてもいないのが悲しいと詠む歌である。夢の中では確かにそばにいた妻を、目覚めて思わず手で探るが、そこには誰もいないという、亡き人を失った者の切実な一瞬をとらえている。
万葉集の巻十二に、「うつくしと思ふ我妹を夢に見て起きて探るになきがさぶしさ」とする類歌が見える。
初句「うつくしと」は、いとしいと、の意で、「うつくし」は愛らしく大切に思う気持ちをいう。
二句「思ひし妹を」は、思った妻を、の意で、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
三句「夢に見て」は、夢に見て、の意である。
四句「起きて探るに」は、起きて手探りすると、の意で、夢から覚めた直後のしぐさをいう。
結句「なきぞ悲しき」は、いないのが悲しい、の意で、係助詞「ぞ」を受けて形容詞の連体形「悲しき」で結ぶ係り結びである。
いも:妹。男が妻や恋人を親しんで呼ぶ語
さぐる:探る。手で探って求める
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
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亡き人もあるがつらきを思ふにも 色分かれぬは涙なりけり
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思ひやるこごひの森の雫には よそなる人の袖も濡れけり