思ひやるこごひの森の雫には
よそなる人の袖も濡れけり
- 歌の意味
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子を恋うという子恋の森に落ちる雫、すなわちあなたの涙を思いやると、よその人である私の袖まで濡れることだ。
- 鑑賞
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巻第二十 哀傷 1303
詞書「順が子亡くなりて侍りけるころ、訪ひに遣はしける」
子恋の森の雫を思いやると、よその人の袖までも濡れると詠む歌である。詞書から、源順が子を亡くした頃に、見舞いに送った歌とわかる。歌枕の子恋の森の名に、子を恋う親の悲しみを託し、森に落ちる雫を順の涙に見立てて、他人の自分までも涙を流すと、同じ梨壺の五人である友の悲しみに寄り添っている。
作者の清原元輔は、清少納言の父で、梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進にあたった。三十六歌仙に数えられる。
初句「思ひやる」は、遠くから思いをはせる、の意である。
二句「こごひの森の」は、「こごひ」が歌枕の「子恋の森」と、子を「恋ひ」を掛ける掛詞である。本巻の第千二百八十二首の四句「ましてこごひの」と、同じ歌枕を詠み、子を亡くした親を見舞う点も共通している。
三句「雫には」は、雫には、の意で、森の木から落ちる雫に、子を恋う親の涙を重ねている。
四句「よそなる人の」は、よその人の、の意で、作者自身をいう。
結句「袖も濡れけり」は、袖までも濡れることだ、の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表す。
こごひ:歌枕の「子恋の森」と、子を「恋ひ」を掛ける
よそ:余所。関わりのない他の所、他人
- 作者
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清原元輔
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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うつくしと思ひし妹を夢に見て 起きて探るになきぞ悲しき
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なよ竹の我が子のよをば知らずして 生ほし立てつと思ひけるかな