疎まるる心しなくは郭公
飽かぬ別れに今朝は消なまし
- 歌の意味
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人に疎まれることを気にする心がなかったなら、ほととぎすよ、名残の尽きない別れのつらさに、今朝は消え入ってしまっただろうに。
- 鑑賞
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巻第四 夏歌 174
詞書は前の歌に続き「人のもとにつかはしける」
疎まれることを気にする心がなかったなら、名残の尽きない別れに今朝は消え入ってしまっただろうにと詠んだ歌である。ほととぎすに呼びかけながら、後朝の別れのつらさをこらえている心を表している。
本文では前歌と同じ詞書が付されており、ある人のもとに贈った歌として並べられている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「疎まるる」は、疎ましく思われる、の意で、「るる」は受身の助動詞「る」の連体形である。
二句「心しなくは」の「し」は強意の副助詞、「なくは」は仮定を表し、そうした心がなかったならば、の意である。結句の「まし」と呼応する反実仮想の構文である。
三句「郭公」は、明け方に鳴く鳥への呼びかけで、別れの時刻を告げるものとして置かれている。
四句「飽かぬ別れに」は、名残の尽きない別れに、の意で、「飽かぬ」は満ち足りない、もっと一緒にいたい心を表す。
結句「今朝は消なまし」の「消」は消え入る意、「な」は完了の助動詞「ぬ」の未然形、「まし」は反実仮想で、消え入ってしまっただろうに、の意である。
うとむ:嫌って遠ざける、疎ましく思う
く:消える、消え入る
あかぬわかれ:名残の尽きない別れ
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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逢ふと見し夢にならひて夏の日の 暮れがたきをも嘆きつるかな
- 次の歌
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折りはへて音をのみぞ鳴く郭公 しげきなげきの枝ごとにゐて