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折りはへて音をのみぞ鳴く郭公
しげきなげきの枝ごとにゐて

歌の意味
長々と声をあげて鳴いてばかりいるほととぎすよ。茂り合う嘆きの木の枝ごとにとまっては。
鑑賞
巻第四 夏歌 175

詞書「思ふ事侍りける頃、郭公を聞きて」
 茂った木の枝ごとにとまって、長々と声をあげて鳴き続けるほととぎすを詠んだ歌である。「嘆き」に「木」を響かせ、ほととぎすの鳴く声に、物思いに沈む自身の嘆きを重ねている。
 詞書によれば、物思いをしていたころ、ほととぎすの声を聞いて詠んだものである。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「折りはへて」は、長く引き延ばして、ずっと続けて、の意で、「折り」は四句、結句の「枝」と縁語になっている。
 二句「音をのみぞ鳴く」は、声をあげて鳴いてばかりいる、の意で、「ぞ」は係助詞、連体形「鳴く」と係り結びをなす。ここで句切れとなり、下の句と倒置になっている。本巻の第百八十四首、第百九十六首も同じ「音をのみぞ鳴く」で結ばれている。
 三句「郭公」は、物思いをする自身の姿を重ねたほととぎすである。
 四句「しげきなげきの」の「なげき」は、「嘆き」と、薪にする木の意の「投げ木」を掛けた掛詞である。「しげき」は木が茂る意と嘆きが多い意を兼ね、「枝」と縁語になっている。
 結句「枝ごとにゐて」は、枝ごとにとまって、の意である。嘆きの木の枝のどこにとまっても鳴くほかないほど、嘆きが多いことを表している。

なげき:「嘆き」と、薪にする木の意の「投げ木」を掛ける
をりはふ:長く引き延ばす、ずっと続ける
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
疎まるる心しなくは郭公 飽かぬ別れに今朝は消なまし
次の歌
ほととぎす来ては旅とや鳴き渡る 我は別れの惜しき都を