心にもあらぬ憂き世にすみぞめの
衣の袖の濡れぬ日ぞなき
- 歌の意味
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思いもよらないつらい世に住みはじめて、墨染の衣の袖が涙に濡れない日はない。
- 鑑賞
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巻第二十 哀傷 1290
詞書「題しらず」
思いもよらないつらい世に住みはじめ、墨染の衣の袖が涙に濡れない日はないと詠む歌である。「住み初め」に「墨染」を掛け、大切な人を失って喪服をまとう身となった今、心ならずも生きながらえる世のつらさと、絶えない涙を詠んでいる。
初句「心にも」は、自分の心にも、の意である。
二句「あらぬ憂き世に」は、思いもよらないつらい世に、の意で、心ならずも生き残った世をいう。
三句「すみぞめの」は、「すみぞめ」が世に「住み初め」と、喪服の「墨染」を掛ける掛詞である。
四句「衣の袖の」は、衣の袖が、の意で、墨染の喪服の袖をいう。
結句「濡れぬ日ぞなき」は、涙に濡れない日はない、の意で、係助詞「ぞ」を受けて形容詞「なし」の連体形「なき」で結ぶ係り結びである。
すみぞめ:世に「住み初め」と、喪服の「墨染」を掛ける
うきよ:憂き世。つらいこの世
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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我妹子が寝くたれ髪を猿沢の 池の玉藻と見るぞ悲しき
- 次の歌
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藤衣祓へて捨つる涙川 岸にもまさる水ぞ流るる