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天の川雁ぞと渡る佐保山の
梢はむべも色づきにけり

歌の意味
天の川を雁が渡っていく、その佐保山の梢は、なるほど色づいたことだ。
鑑賞
巻第七 秋歌下 366

詞書「大和にまかりける時、かれこれ共にて」
 空の天の川を雁が渡っていく季節となり、佐保山の梢がなるほど色づいたことだと詠んだ歌である。雁の渡りに秋の深まりを知り、紅葉した佐保山の梢をもっともなことと見ている。
 詞書によれば、大和へ出かけたとき、何人かの人々と一緒に詠んだものである。本巻の第三百五十九首と同じく大和への旅で雁と紅葉を取り合わせ、雁の歌の一連を締めくくっている。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「天の川」は、空の天の川で、雁がはるかな空を渡ることを示している。
 二句「雁ぞと渡る」は、雁が渡っていく、の意で、空を渡るのはまさに雁だと示している。
 三句「佐保山の」は、奈良の北にある佐保山で、紅葉の名所である。
 四句「梢はむべも」の「むべ」は、なるほど、もっともだ、の意である。
 結句「色づきにけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、色づいたことだ、の意である。本巻の第三百五十九首の結句「紅葉しにけり」と同じく、雁の渡りにつれて色づく山を詠んでいる。

さほやま:大和の国、奈良の北にある山、紅葉の名所
こずゑ:木の枝の先
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
年ごとに雲路まどはぬ雁がねは 心づからや秋を知るらん
次の歌
秋霧のたちのの駒を引く時は 心に乗りて君ぞ恋しき