木幡川こはたが言ひし言の葉ぞ
なき名すすがむ滝つ瀬もなし
- 歌の意味
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木幡川ではないが、これはいったい誰が言い出した言葉なのか。身に覚えのない浮き名をすすぎ清める急流もないのに。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 706
詞書は前の歌に続き「題しらず」
これはいったい誰が言い出した噂なのか、身に覚えのない浮き名を洗い流す急流もないと嘆く歌である。地名の「木幡」に「こは誰が」を響かせて同音を重ね、川の縁で「すすぐ」「滝つ瀬」と続けて、汚名を洗い清めるすべのない嘆きを表している。巻頭から続いた、なき名を詠む一連を結ぶ歌である。
初句「木幡川」は、山城国の木幡を流れる川で、同じ音の二句「こはたが」を導いている。
二句「こはたが言ひし」は、これは誰が言い出したのか、の意で、初句の「木幡」と同音を重ねている。
三句「言の葉ぞ」は、言葉なのか、の意で、ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「なき名すすがむ」は、身に覚えのない浮き名を洗い清める、の意で、「すすぐ」は川の縁語である。巻頭の第六百九十八首から続く、なき名の一連の語である。
結句「滝つ瀬もなし」は、急流もない、の意で、汚名を洗い流すすべがないことをいう。
こはた:木幡。山城国の地名
すすぐ:濯ぐ。洗い清める
たきつせ:滝つ瀬。流れの速い瀬
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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染川に宿かる波の早ければ なき名立つとも今は恨みじ
- 次の歌
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君が名の立つにとがなき身なりせば おほよそ人になして見ましや