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君が名の立つにとがなき身なりせば
おほよそ人になして見ましや

歌の意味
あなたの浮き名が立つことに、私が何の咎もない身であったなら、あなたを世間並みの人として見ていられようか。
鑑賞
巻第十二 恋歌二 707

詞書「女のもとにつかはしける」
 あなたの浮き名が立つことに私が何の咎もない身であったなら、あなたを世間並みの人として見ていられようかと詠む歌である。詞書から、女のもとに贈った歌とわかる。前の一連が自分の浮き名を嘆いたのに対し、この歌は相手の浮き名に責めを負う身として、もはや他人のようには思えない心を訴えている。
 作者の藤原忠房は、藤原興嗣の子で、右京大夫などを務めた。管絃にすぐれ、古今和歌集にも歌が採られている。

 初句「君が名の」は、あなたの評判の、の意で、前の一連の「我が名」「なき名」に対し、相手の名を詠んでいる。
 二句「立つにとがなき」は、立つことに咎のない、の意で、「とが」は責められるべき過ちをいう。
 三句「身なりせば」は、身であったなら、の意で、「せば」は反実仮想の仮定を表す。
 四句「おほよそ人に」は、世間並みの人に、の意である。
 結句「なして見ましや」は、して見ていようか、の意で、「まし」は反実仮想の助動詞、「や」は反語を表す。

とが:咎。責められるべき過ち
おほよそびと:おほよそ人。世間並みの人、かかわりのない人
作者
藤原忠房
出典
拾遺和歌集
前の歌
木幡川こはたが言ひし言の葉ぞ なき名すすがむ滝つ瀬もなし
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夢かとも思ふべけれど寝やはせし 何ぞ心に忘れがたきは