君を思ひおきつの浜に鳴く鶴の
尋ね来ればぞありとだに聞く
- 歌の意味
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あなたを思い、心に置いて、興津の浜に鳴く鶴のように訪ねて来たからこそ、あなたが無事でいるということだけでも聞けたのだ。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌上 914
詞書「貫之が和泉の国に侍りける時に、大和より越えまうで来て詠みて遣はしける」
紀貫之が和泉国にいた時、大和から山を越えて訪ねて来た忠房が贈った歌である。あなたを思って訪ねて来たからこそ、元気でいるとだけでも聞くことができたと、友を思う心と訪問の喜びを詠んでいる。
作者の「藤原たたふさ」は藤原忠房である。平安時代前期の官人、歌人で、雅楽に通じ、舞楽の胡蝶楽の作曲者と伝えられる。
次歌の第九百十五首は、この歌への貫之の返歌である。
初句「君を思ひ」は、六音の字余りで、相手への思いから歌い起こす。
二句「おきつの浜に」の「おきつ」は、「思ひ置き」の「置きつ」と、和泉国の地名である「興津」を掛けた掛詞である。
三句「鳴く鶴の」の「たづ」は、四句の「尋ね」と同音で響き合い、上三句が「尋ね」を導く序詞となる。
四句「尋ね来ればぞ」は、訪ねて来たからこそと強調し、係助詞「ぞ」が結句にかかる。
結句「ありとだに聞く」は、「ぞ」を受けて連体形「聞く」で結ぶ係り結びで、せめて無事でいるとだけでも聞くの意となる。
おきつ:心に思い置く意と、和泉国の地名である興津を掛ける
たづ:鶴
たづぬ:訪ねる
- 作者
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藤原忠房
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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難波潟潮満ち来らし海人衣 たみのの島に鶴鳴き渡る
- 次の歌
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沖つ波たかしの浜の浜松の 名にこそ君を待ちわたりつれ