- 歌の意味
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難波潟に潮が満ちてくるらしい。田蓑の島の方へ、鶴が鳴きながら飛び渡ってゆく。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌上 913
詞書「題しらず」
難波潟で、鶴が鳴きながら田蓑の島へ飛んでいく様子から、潮が満ちてきたことを推し量る歌である。干潟が潮に満たされていく広々とした景と、鶴の声とが一体となった叙景の歌である。作者は未詳である。
『万葉集』の山部赤人の歌などに見られる、潮が満ちて鶴が鳴き渡るという叙景の型を受け継いでいる。
初句「難波潟」は、摂津国難波の干潟である。本巻の第九百十六首も同じ初句で始まる。
二句「潮満ち来らし」は、根拠のある推定の「らし」で、鶴の動きから潮が満ちてきたと推し量る。ここで意味が切れる二句切れである。
三句「海人衣」は、漁師の着る衣の意で、蓑を連想させて「たみの」を導く枕詞的な語である。
四句「たみのの島に」は、難波の地名である「田蓑の島」と、衣の「蓑」を掛けた掛詞である。本巻の第九百十八首も田蓑の島を詠み、両歌が呼応する。
結句「鶴鳴き渡る」は、推定の根拠となる景を示し、鶴の声が広い干潟に響く情景で結ぶ。
たみの:難波の地名である田蓑の意と、衣の蓑を掛ける
たづ:鶴
あまごろも:漁師の着る衣
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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わたの原寄せ来る波のしばしばも 見まくのほしき玉津島かも
- 次の歌
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君を思ひおきつの浜に鳴く鶴の 尋ね来ればぞありとだに聞く