ほととぎす声待つほどは遠からで
忍びに鳴くを聞かぬなるらん
- 歌の意味
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ほととぎすの声を待つ間は遠いわけではなく、ひそかに鳴いているのを、あなたが聞かないでいるのだろう。
- 鑑賞
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巻第四 夏歌 150
詞書「返し」
前歌で便りがないと恨まれた友が、ほととぎすの声を待つ間はそう遠くはなく、忍び音に鳴いているのにあなたが聞かないだけだろうと返した歌である。自分はひそかに思いを寄せているのだと、相手の恨みを軽く切り返している。
前歌の第百四十九首と贈答をなす。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「ほととぎす」は、前歌と同じく初句に置かれ、贈答の形を整えている。
二句「声待つほどは」は、声を待つ間は、の意で、前歌の「待ち遠に」を受けている。
三句「遠からで」の「で」は打消の接続助詞で、遠くはなくて、の意である。前歌の「待ち遠に」「近ながら」に対し、遠くはないと応じている。
四句「忍びに鳴くを」は、ひそかに鳴いているのを、の意で、初夏のほととぎすの低くひそやかな鳴き声である忍び音を踏まえている。
結句「聞かぬなるらん」は、聞かないでいるのだろう、の意で、「らん」は推量を表す。前歌の「声の聞こえぬ」を、聞こえないのではなくあなたが聞かないのだと切り返している。
しのびね:初夏のほととぎすの、まだ声をひそめたような鳴き声
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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郭公来ゐる垣根は近ながら 待ち遠にのみ声の聞こえぬ
- 次の歌
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恨めしき君が垣根の卯の花は うしと見つつもなほ頼むかな