嘆きあまりつひに色にぞ出でぬべき
言はぬを人の知らばこそあらめ
- 歌の意味
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嘆きのあまり、とうとう顔色に出てしまいそうだ。口に出して言わない思いを、あの人が知ってくれるのならよいのだが。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 625
詞書「題しらず」
嘆きのあまり、とうとう顔色に出てしまいそうだ、口に出して言わない思いを人が知ってくれるのならよいのだが、と詠む歌である。言わずにいる思いは相手に伝わらず、嘆きばかりが募って隠しきれなくなる苦しさを表している。第六百二十二首、第六百三十三首と「色に出づ」の言い回しを共有し、言わない思いを知ってほしいと願う点で、前歌の第六百二十四首が忍ぶ心を相手に明かそうとしたのと通い合う。
初句「嘆きあまり」は、嘆きのあまり、の意で、思いが募るさまをいう。
二句「つひに色にぞ」は、とうとう顔色に、の意で、係助詞「ぞ」は三句の「べき」で結ぶ係り結びである。
三句「出でぬべき」は、出てしまいそうだ、の意で、「ぬ」は完了、「べき」は推量の助動詞「べし」の連体形である。ここで句切れとなる三句切れの歌である。第六百三十三首の四句と結句「つひに色にも出でぬべきかな」とほぼ同じ言い回しである。
四句「言はぬを人の」は、口に出して言わない思いを人が、の意である。
結句「知らばこそあらめ」は、知ってくれるのならよいのだが、の意で、係助詞「こそ」を受けて推量の助動詞「む」の已然形「め」で結ぶ。知ってくれないから嘆きが募るのだという含みを持つ。
なげき:嘆き。思い悩むこと、ため息
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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忍ぶるも誰ゆゑならぬものなれば 今は何かは君に隔てむ
- 次の歌
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逢ふことをまつにて年の経ぬるかな 身は住の江に生ひぬものゆゑ