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葦引の山郭公うちはへて
誰かまさると音をのみぞ鳴く

歌の意味
山のほととぎすは、長々と、誰がまさっているかと競うように、声をあげて鳴いてばかりいる。
鑑賞
巻第四 夏歌 184

詞書「題しらず」
 山のほととぎすが、誰がまさっているかと競うように、長々と声をあげて鳴いてばかりいると詠んだ歌である。ひたすら鳴き続けるほととぎすの声に、物思いに泣き続ける人の姿も重ねられている。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「葦引の」は、「山」にかかる枕詞である。
 二句「山郭公」は、山にいるほととぎすを示す。
 三句「うちはへて」は、長く引き続いて、の意である。本巻の第百九十二首も「うちはへて」で始まり、蝉の鳴き暮らすさまを詠んでいる。
 四句「誰かまさると」の「か」は疑問の係助詞で、誰がまさっているかと、の意である。
 結句「音をのみぞ鳴く」は、声をあげて鳴いてばかりいる、の意で、「ぞ」は係助詞、連体形「鳴く」と係り結びをなす。本巻の第百七十五首、第百九十六首と同じ結句を共有している。

うちはふ:長く引き続ける、ずっと続ける
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
二葉よりわがしめ結ひしなでしこの 花の盛りを人に折らすな
次の歌
つれづれとながむる空の郭公 訪ふにつけてぞ音はなかれける