よそながら逢ひ見ぬほどに恋ひ死なば
何にかへたる命とか言はむ
- 歌の意味
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離れたまま、逢うこともないうちに恋い死にしたならば、何と引き換えにした命だと言えばよいのだろう。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 655
詞書「題しらず」
離れたまま逢うこともないうちに恋い死にしたら、何と引き換えにした命と言えようかと詠む歌である。逢うことと引き換えに命を捨てるのならまだしも、逢わないまま死ぬのは無駄死にだと嘆いている。命と逢うことを引き換えにする趣向は、第六百七十五首、第六百八十二首、第六百八十四首にも見える。
初句「よそながら」は、離れたままで、の意で、第六百三十一首、第六百三十二首の「よそ」と同じ語を用いている。
二句「逢ひ見ぬほどに」は、逢うこともないうちに、の意である。
三句「恋ひ死なば」は、恋い死にしたならば、の意で、「ば」は未然形について仮定を表す。
四句「何にかへたる」は、何と引き換えにした、の意で、係助詞「か」は結句にあって、反語の意を含む。
結句「命とか言はむ」は、命と言おうか、の意で、係助詞「か」を受けて「む」の連体形で結ぶ係り結びである。
あひみる:逢ひ見る。男女が逢う、契りを結ぶ
こひしぬ:恋ひ死ぬ。恋の苦しさのあまり死ぬ
かふ:替ふ。引き換える
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
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ほどもなく消えぬる雪はかひもなし 身をつみてこそあはれと思はめ
- 次の歌
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いつとてか我が恋やまむちはやぶる 浅間の嶽の煙絶ゆとも